「月の土地が買える」と聞いたことはありませんか? 実はネット上では月面の土地が数千円で販売されています。でも、ちょっと待ってください。宇宙って誰のものなんでしょう? 国が勝手に「ここは俺の土地だ」と言っていいのでしょうか? 今、宇宙ビジネスが急成長する中、宇宙の法律=「宇宙法」が注目を集めています。この記事では、宇宙条約から最新の資源開発ルールまで、中学生でもわかるようにやさしく解説します。
宇宙は誰のもの?「宇宙の憲法」を解説
1967年、人類は宇宙のルールを作った
1967年に発効した宇宙条約は、国際的な宇宙法の基礎となった条約です。宇宙空間における探査と利用の自由、領有の禁止、宇宙平和利用の原則、国家への責任集中原則などが定められています。 Wikipediaこの条約は「宇宙の憲法」とも呼ばれ、現在も宇宙活動の基本ルールとして機能しています。
わかりやすく言えば、この条約は「宇宙は人類みんなのもの」という考え方を定めたものです。たとえば、日本が「月のこの部分は日本の領土だ」と主張することはできません。これは、海で漁をする権利はあっても、海そのものを自分の国の領土にできないのと似ています。
国家が領有できない=個人も持てない?
ここで大きな問題が出てきます。宇宙条約は国家の領有のみを禁止しているなど、曖昧な部分があります。通常、所有権は法令の範囲内において効力がある権利と解されるため、国家の領有が禁止されている以上、私人の所有においても同様に禁止されると考えられますが、それを否定する考えも存在します。 Wikipedia
つまり、条約には「国」が月を領土にすることは禁止されていますが、「個人」が月の土地を所有することについては、直接書かれていないのです。この「抜け穴」が、後に面白いビジネスを生むことになります。
月の土地を売る会社が存在する?
デニス・ホープ氏の驚きの発見
月の土地が販売されるようになったのは、アメリカ人のデニス・ホープさんが「月は誰のものか?」という疑問を持ち、法律を徹底的に調べたことから始まります。彼が調べた結果、世界の宇宙に関する法律は1967年に発効した「宇宙条約」 しかないことがわかりました。この宇宙条約では「国家が所有することを禁止しているが、個人が所有してはならない」ということは言及されていませんでした。
これは、マンションの規約で「法人は部屋を買えない」とは書いてあるけれど、「個人が買ってはダメ」とは書いていないようなもの。ホープ氏はこの「グレーゾーン」を見つけたのです。
ルナエンバシー社の月面不動産ビジネス
この盲点をついて行政機関に所有権を申し立てたところ、正式に受理されたようです。こうして、デニス・ホープさんは会社(ルナエンバシー)を設立し、『月の土地の販売』と『権利書を発行』するという「地球圏外の不動産業」を開始しました。
月の土地1エーカー(約4,047㎡)は税込み2,700円 Aia-kaitoriで販売されています。サッカーグラウンド1面分の広さがたった2,700円。夢があると思いませんか? 購入すると権利書やオーナーシップカードがもらえ、インテリアとして飾ることもできます。
本当に「所有」できるの?法的な見解
しかし、法律の専門家からは厳しい見方もあります。主権国家の承認なくして所有権は存在しえません。主権国家の管轄外の土地については、この主権国家の承認を受けることができないため、私人は、所有権という法的権利を取得することはできません。 Rclo
つまり、日本で土地を買うと法務局に登記されて「この土地は○○さんのもの」と公的に認められますが、月にはそもそも法務局がないのです。どの国も月を管轄していないため、誰も「あなたの土地です」と公式に認めることができません。
結論として、月の土地の購入は「夢やロマンを買う」という意味合いが強く、地球上の不動産のように投資対象にしたり、他人に売却して利益を得たりすることは難しいというのが現状です。それでも、プレゼントや記念として人気があるのは確かです。
宇宙資源は「みんなのもの」?ルール作りが加速中
月協定の失敗と新しい時代の到来
この問題を解消するために1979年の月協定(月その他の天体における国家活動を律する協定)では天体の領有、天体における天然資源の所有が私人を含めて一切禁止されました。しかし月協定については批准・署名国がきわめて少数にとどまっています。 Wikipedia
月協定の批准国はわずか13カ国、署名国も4カ国にすぎません。しかも、アメリカや中国、そして日本を含めた宇宙開発に関わる主要国は、月協定を批准していない状況となっているのも事実です。 実質的に効力がない状態です。
なぜ主要国は参加しないのでしょうか? 答えは簡単です。月には水や希少金属など、将来の宇宙開発に欠かせない資源が眠っている可能性があるからです。「資源は誰のものにもならない」というルールでは、企業が莫大なコストをかけて採掘に行くメリットがありません。
アメリカが切り開いた新ルール
アメリカが2015年11月に制定した宇宙商業利用に関する法律。世界で初めて、地球以外の天体の天然資源を民間企業が利用することを法的に認めました。 Imidas
2015年宇宙法では、「宇宙における領有はできないが、そこに存在する天然資源は民間が利用可能」という法理を採用して、アメリカ国民は宇宙空間の天然資源を利用する権利を持つと定めました。 Imidas
これは公海での漁業に似ています。海そのものは誰のものでもありませんが、獲った魚は漁師のものになりますよね。同じように、月を「領土」にはできないけれど、採掘した資源は企業のものになる、という考え方です。
日本も動いた!宇宙資源法の成立
世界で4番目に宇宙資源法を制定
日本は、米国、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦に続き、民間企業による宇宙資源利用を認める法律を制定した4番目の国となります。 ispace
2021年に成立した宇宙資源法は、日本の民間事業者が、月その他の天体を含む宇宙空間に存在する水、鉱物、その他の天然資源である宇宙資源の探査及び開発に従事することを認めることを規定しています。
これは日本企業にとって大きな追い風です。月で採掘した水や鉱物を、正式に「自分のもの」として販売できるようになったのです。
ispaceが世界初の快挙を目指す
この法律の恩恵を受けている代表的な企業が、日本のスタートアップ「 ispace」です。ispaceは、宇宙資源法に基づき、内閣府より宇宙資源の探査及び開発の許可を取得しました。
本許可に沿って、同社が月面資源の所有権を顧客である米国NASAに移転すれば、月面資源の商業取引として日本初の事例となります。 ispaceこれは人類の歴史においても画期的な出来事になる可能性があります。
具体的には、月面に着陸した際にフットパッド(着陸脚の先端)に付着した月の砂(レゴリス)を、ローバーのカメラで撮影し、その所有権をNASAに譲渡するというものです。砂を地球に持ち帰るわけではありませんが、「所有権が移転した」という事実が、将来の月面資源ビジネスの重要な先例となります。
宇宙ビジネス市場は100兆円超!投資家が注目する理由
2035年には約286兆円規模へ
宇宙ビジネスの世界規模での市場規模は2024年4月に公表された「Space: The $1.8 Trillion Opportunity for Global Economic Growth」によると、2023年時点で6300億ドル(約100兆円)。そして、今後は2030年に1兆1600億ドル(約185兆円)、2035年には1兆7900億ドル(約286兆円)になると予想されています。
年率9%で成長を続け、現在の2.8倍に成長する METIという予測は、多くの投資家の心を躍らせています。これは、かつてインターネットが黎明期に急成長したのと同じような「新しいフロンティア」の開拓が始まっていることを意味します。
アルテミス計画で日本も月を目指す
NASAが提案している、月面探査プログラム全体をまとめて、「アルテミス計画」と呼んでいます。2027年以降に月面に人類を送り、その後、ゲートウェイ(月周回有人拠点)計画などを通じて、月に物資を運び、月面拠点を建設、月での人類の持続的な活動をめざします。 JAXA Humans in Space
2020年10月、この計画を推進するため、アメリカ、日本、カナダ、イタリア、ルクセンブルク、UAE、イギリス、オーストラリアの8か国が「すべての活動は平和目的のために行われる」ことなどをはじめとした、アルテミス合意にサインしました。 JAXA Humans in Space
そして注目すべきは、NASA長官ビル・ネルソンは、日本人宇宙飛行士も月面着陸に参加させることを表明している Wikipediaということです。2028年以降には日本人が月に降り立つ可能性があり、これは日本の宇宙産業にとって大きな転換点となります。
日本はトヨタ自動車と協力して「有人与圧ローバー」(月面を移動する乗り物)を開発しており、JAXAは2031年の打ち上げを目標に開発を進めています。 Jgc宇宙服なしでシャツ姿で月面ドライブができる時代が、もうすぐそこまで来ているのです。
まとめ:宇宙法が切り開く新時代
宇宙条約で「国は宇宙を領有できない」というルールができてから約60年。当時は国家しか宇宙に行けませんでしたが、今やSpaceXをはじめとする民間企業が宇宙開発の主役になりつつあります。
月の土地を買うことはロマンとしては素敵ですが、法的な所有権としては難しい面があります。一方で、宇宙資源法の整備により、月で採掘した水や鉱物を正式に取引できる時代が始まっています。
宇宙ビジネスが儲かる仕組みを理解すれば、この巨大市場への投資機会が見えてきます。市場規模は2035年までに約286兆円に達する見込みで、今が宇宙投資を始める絶好のタイミングかもしれません。
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